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「今日は色々ありすぎて言いそびれちゃったけど……あなたが私のお父さんでよかったです。あなたという存在があったから私は歌が好きでいれたし、いまの自分があると思います……ありがと。これからもよろしくね」
それを聞いたご主人は右手で顔を覆っていた。モコさんは微笑んでギターをポロリと弾いた。
前奏がしっとりと始まる。観客はみなうっとりとした表情で彼女の音色に耳を澄ませていた。そして、曲は流れるように進んでいき、一番のサビに差し掛かろうとしていた。
そのときである。
ステージ後方の観客が少し騒めき出した。
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