(1)奴らの夏休み

2/4
前へ
/264ページ
次へ
車の窓から爽やかな風が吹いてくる。俺はサングラス越しに右の景色を一望した。 広がるのは大海原。今日は見渡す限りの快晴で、海の色はより青々と見えた。これだけ綺麗なところなら吸い込む空気さえも青々してるかもしてない。やはり汚くて排気ガスだらけの暑苦しい都会とは訳が違うようだ。 言ってみれば水の塊だけど、どうしてこうも心洗われるのか……自然の力は偉大である。 車のBGMから流れるのはちょっとマイナーなサザンオールスターズ。どこか懐かしいバラード調に彼独特の言い回しがゆっくりと心に沁み渡る。黄昏るには最高のシチュエーションだ。
/264ページ

最初のコメントを投稿しよう!

12人が本棚に入れています
本棚に追加