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富士は俺たちにその現実を伝え、二日後何も言わずに退部した。
富士は、「サボった」と芳田に言われてから休むことなく練習に勤しんでいた。きっとそれが悪化に繋がったに違いない。あいつは真面目な奴だから。自分に正直な奴だから。
翌日の放課後、部活が始まる前に芳田がいる体育教官室へ足を運んだ。
そこから先のことは、あんまり自慢できることじゃない。教官室の扉から芳田のデスクまで挨拶なしに突っ込んでいき、他の先生に止められるまで、芳田の胸倉を掴んで思いっきり声を荒げてしまった。
「お前は教師の器でも顧問の器でもない! 富士がどんな気持ちで辞めたかわかってんのか! 」
多分こんなことを言っていたと思う。最後は退部届を芳田のデスクに叩きつけて退室した。
それが俺の陸上競技生活の最後だった。
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