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“キイ”はあらゆる世界の“介入支援員”である。“多元世界”全ての恒久的平和を願う
彼等の種族は、時代や次元といった垣根を超え、その世界に住む住人達に力を与え、
時には協力し、その世界の存在を覆そうとする勢力と戦い、平和を維持する事を務めとする。
これらの活動を人間世界、つまり地球、さらに分類すると極東の島国、日本的な事例で
言えば“変身ヒロイン、魔法少女”の“マスコット的立ち位置”がキイに該当した。
今回、彼の任務は(キイの所属する世界にも、性別や社会があり、
これまた日本風に例えると、彼は妻子持ちの中年男性営業職の部類といった所だ。)
人間世界、地球の日本地域で起こりつつある脅威への
対応として、現地人をスカウトし、即戦的防衛手段の人材として確保する事だ。
(該当する対象は、防衛が長引く場合に備え、長期的防衛戦力としての人材育成を図るため、若干の年齢層を対象とする。具体的には10代くらいの男女が望ましい。)
上司から勅命を受けた瞬間には、自身の体が宙に浮かび、夕闇が迫るオレンジ色の空に、
光る球体となって、漂っていた。
キイが地球を訪れるのは三度目。新鮮味はないが、穏やかな景色には心が和む。
静かな余韻に浸りたい彼の頭は、感じ取った“脅威”に素早く行動を開始する。
地上近くまで高度を下げ、ビル群と住宅、そして緑に川が立ち並ぶ中規模都市群に降り立つ。
「目標はあれか?」
キイの見る先には市街に流れる大き目の河川。そこに、黒い霧状の邪悪な瘴気を纏った
“何か”が実体を形成し始めていた。このまま放っておけば、間違いなく現地住人達にとっての脅威となる。
早急に人材の確保を急がねば…さ迷わす視線が河川沿いの土手をまっすぐ目標に向かって走る少女を捉える。偶然ではない。彼女の足は、迷う素振りも見せず、常人には見える筈の
ない、何か…今や“黒い四足の獣”に姿を変え始めている存在に近づいていく。
稀にだが、異能のモノに対し、特異や耐性を持つ個体が人間界に存在する。こう言った
能力要素を持つ者ほど、キイ達の提案する防衛要素(要するに魔力や
魔法を用いた変身コスチューム)が適合しやすい。年齢も見た感じは女学生。
対象年齢も該当しそうだ。
そして、何より明らか危険と感じとれるモノに対し“退避”ではなく“対峙”を選ぶ姿勢が
非情に好ましい。
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