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「うむ。吾輩もコールも、それは全然構わないのだが…」
としごく冷静に了承し、目の前の、会話に夢中で、ほとんど気にしていなかった目標に
手を翳す。
「対象、ロック“波動光球”スタンバイ!カウント3、2、1、FIRE!!」
“コール”と呼ばれた電子音声が発射シークエンスを促し、彼女の手が銀の光沢を帯びた機械の腕に変形し、そこから巨大な光球が勢いよく目標に向かって発射される。
巨大な爆発と共に目標が吹き飛び、その爆炎で、
顔に暗い影を落とす彼女がこちらに振り向く。
「吾輩、“人造人間”だけど、それでも平気か?」
とりあえず、キイは頭の中のマニュアルを開き、上手く行けば
恐らく“最強”になるであろう目の前の対象の、
該当項目について“確認”を始めた…
「えーっと、お名前は天津 マリ(あまつ まり)さんですね。市内中学に通う1年生。
あ~っ、なるほどお父さんは有名な学者さん。それであなたが…」
「うむ、その通りだキイ殿。5歳の時に交通事故で死にかけた吾輩を、父上は治してくれた。
母上は助からなかった。そして治してくれた父上も死に、今は父が遺してくれた
サポートメカのコールと二人で、この家に暮らしている。」
「あ~っ、家、なるほどねぇ。てか、家っていうより、館じゃないですか?
大きいですもんねぇ~ここ!」
キイは洋館に匹敵しそうな、広く豪奢な室内を飛び回ってみる。河川での後処理を終え、
契約等を含め、とりあえず、お家にお邪魔した訳だ。
「先程の話の続きだが、つまり“邪魔(ジャマ)”というモノが人に悪影響を与えるために
姿を現し始めたという訳か?コールがいつもと違うエネルギー反応を感じるというので、
向かったのだが…」
「つまり、以前からそう言った町を守る活動を?お若いのに、たいしたモンですねぇ!
それは…とても好評価ですよ。ハイッ!」
「いや、それほどの事は。行方不明のおばあちゃんの捜索や
万引き泥棒ぐらいしか、捕まえた事ないし…」
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