勇者と姫君

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やっと、我が国の姫が囚われている塔まで辿り着いた。ここまでの道のりが走馬灯のように駆け巡る。 いきなり勇者に指定されたこと。姫の写真を見て守ってあげたいと思った、これは初恋なんだと思う。華奢な腕に鎖がかけられ、満足に食事も与えられず弱っているとも聞いた。義憤にかられたのもあるが、ただの平民が姫にお会いできる機会なんてそうそう無いのだから、勇者に指定してくれて本当に良かった。血の滲むような努力、仲間が一瞬できたが裏切られた。まぁ、姫を独り占めできるのだから、結果オーライである。 長い石の階段を登りきったその先に、鉄の扉があった。つついてくる蝙蝠似の魔物をザッと薙ぎ払い、そっとノックをした。姫の声が返ってきた。か細い、助けを待つ姫が、もうすぐそこにいる。
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