第一話 悪役ってどうなんだろう

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第一話 悪役ってどうなんだろう

お庭でのひと時を終え私は部屋へ戻ろうとしていた。庭には、転ぶようなものはなかったはずなのに、私は転びそうになっている。そのさなかに私は思い起こす。 「あれ、私はわたしのことを知っている。」 グラリとよろめくも、私は自力で姿勢を戻すことに成功する。私付きのメイドがなにやら大丈夫ですか、などの声掛けをしているのも構わず私は考えている。 なぜ私は転生しているのだろう。 なぜ私は令嬢なるものに転生しているのだろう。 なぜ私は自分がゲームしていた世界で悪役令嬢に転生しているのだろう。 なぜ私は・・・ はっとして気づいた私は、返答を待っているであろう私付きのメイドに躓いただけであるので大丈夫だと告げる。 前世では私は平凡な女だった。やりたいこともなく、将来なりたいものも見つからずに、適当に仕事をこなしていた。恋なるものをしたことがなかったといえる。しかし、アニメや漫画は好きだった。いろんなジャンルで遊んでいたため、乙女ゲームなるものも嗜んでいたのだ。その中にあるゲームの一つで【初恋レディ~ときめきをあなたに~】というものがあった気がする。攻略対象者は4人と隠しキャラ1人。イケメンメンバーとの親密度を上げて、攻略していくゲームだ。私はネタバレが嫌いで、隠しキャラを見つけられなかったことを後悔していた気がする。その中に登場した悪役令嬢キャラ、可愛らしい外見とは似つかわしくない悪役で、主人公をいじめていた。この私・・・アリミナール・ブラックレス。通称アリー。 アリミナール・ブラックレスである私は現在6歳の令嬢である。蝶よ花よと育てられてきた私だが、まだ6歳で性格もそこそこ悪くないように育ってきたつもりだ。よし、ここはお父様を丸め込んで、初恋レディの登場人物にならないようにするか。と悪知恵を働いてみたが思い出す。そうだ、初恋レディのアリーは学園に登場する前から、婚約者として攻略対象者の横にいたんだ。 「ああ~なんで私悪役令嬢になんて転生してしまったんだ?どうせなら主人公ポジションにしてくれよ。あ、いや主人公だと誰かを攻略しないといけないし、やりたく無いなぁ。」 部屋で一人作戦を考えながら悩む令嬢が一人。うん、私のことなんだけどね。 そんな時部屋をノックする音が聞こえる。お父様の声がした。 コンコン、「アリミナール、少し話があるんだ」 何も知らない私に攻略対象者の影が近づく。
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