733人が本棚に入れています
本棚に追加
/296ページ
第二話 美少年と友達になる
私、アリミナール・ブラックレス。
お父様に呼ばれ、書斎に招かれた。そこには父と同年代であろうお方と少年がいた。父と同年代であろうお方はそれはもう素敵な容姿をされていた。え、少女漫画にいるイケメン枠に確実に入るよ。お父様が背景にしか見えない。
「はじめまして、アリミナール嬢。今君のお父様と仕事の話で来ているんだが、息子も遊びに来てくれたんだ。良かったら息子と遊んできてはもらえないかな。」ニコリと笑う笑顔が眩しい。
「えっと、私でよければ」そう、私はまだ6歳の令嬢なのだ。お茶会参加もまだだし、令嬢としての作法の自己紹介でさえ出来ないのだ。しかし、このイケメンは私の名前を知っていたしいいか、と胸をなでおろした。
部屋を二人で出ると、少年の顔がはっきり見えた。人形のように可愛らしい男の子だ。
「男の子なのにとても可愛らしい容姿ですね。羨ましいです。」と私が伝えると、男の子は真顔で言った。
「ありがとうございます。」
小さい男の子ってこんなにかわいらしたっけ?そこは怒っていいだろうと考えるのは、私が転生者で、大人の心を少しもっているからなのか・・・よし、子供相手だし。
「そこは怒っていい所ですの。男の子たるものカッコいいと言われることが重要だと思います。あなたはとても可愛らしいですが、大人になれば絶対カッコいい姿になっていると思います。」
「・・・」驚いている。
これは言葉の選択を誤ってしまったのだろうか。それとも見た目のように人形のような性格をしているのか?と考えていると。
「お父様に、かわいいは誉め言葉だと言われたが、やはり怒っていい言葉だったのですね。」少年は少し困ったように答える。
ニコリと笑顔を返す。美少年って得だな。私の顔は前世と比べればかわいい部類だと思う。しかし、目の前にいる美少年には適うまい。
一通りに屋敷の案内を終えた。そういえばと気づく、名前も知らない相手と普通に話していた私は自己紹介をした。しかし、美少年は名乗らない。少し困った顔をしているので遊ぼうと誘うことにした。庭で花冠を作っている私。それを笑顔で見ている美少年。
「ねぇねぇ、私ね、将来悪役になるんだけどどうやったら回避できるかな。」
「えっとね、じゃあ僕が助けてあげるよ」
「つまり友達になってくれるってこと?」
「うん、そうだね。友達なら助けてあげられるね。」
子供相手だし話していいよね。
最初のコメントを投稿しよう!