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すると、ドアにもたれかかり暗い外を見ていたサイが、唐突に侍の方を振り向いて突進してきた。
サイは最上級のタキシードに身を包み、最高のワインを首からぶら下げていた。
侍は、自慢の刀でサイのツノを受け止めた。日本列島の刀の青森のあたりで受け止める侍のセンスに、『りんご追分』を贈りたいものだ。
「何者だ、貴様!無礼だぞ!」
サイはカンカンに怒っている。
「てめえこの野郎!ぶち転がすぞ!俺もあと2時間きってんだ!それなのにこんな電車に乗って、もう疲れたのに座れなくて苛立ってんだ!てめえ、俺に席をゆずれ!」
サイの怒りはおさまらない。
「うぬ。致し方ない。では席を譲ってやろう」
侍は、割とできた大人だったので、そそくさとサイに席を譲ってやった。
「やったぜ、俺は座れるんだ!」
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