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これは私の友人が紹介してくれたAさんから聞いた話。
東日本大震災が発生した日、東北にあるAさんの実家には六十を過ぎたご両親と姉の子供である二歳の姪っ子がいたのだという。
当時、姉夫婦は共働きで、日中はよく両親に子供の面倒をみてもらっていたらしいのだが、その日もまたいつも通り子供を預かり家の中で遊ばせていた。
昼食を済ませ、Aさんの母親は座敷で洗濯物をたたみ、お父さんは茶の間でテレビを観ていた。
そして、姪っ子は座敷の隣にある部屋で一人遊びをしていた。
そうして何事もなく時間が過ぎ、午後二時四十六分を迎えたとき。
例の巨大地震が発生し、Aさんの実家も大きな揺れに襲われた。
お世辞にも新しいとは言えない古い家。Aさんのお母さんは立ち上がるのも困難な激しい揺れが襲ってきた瞬間、真っ先に隣の部屋にいる孫を守らなくてはと焦ったという。
と言うのも、姪っ子がいた狭い部屋には仏壇や普段はあまり使わない荷物を入れた段ボールを載せた箪笥などがあり、それが倒れてきたら怪我では済まないと考えたから。
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