4人が本棚に入れています
本棚に追加
この話を聞かせてくれたとき、Aさんはそんなことを言って少し困ったように笑っていたのですが、私が話を聞かせてくれたことにお礼を言うと
「実はこれ、まだ続きがあるんですよ」
と言って、その日の夕方に起きたもう一つの不思議な話を聞かせてくれた。
外へ避難したAさんのお母さんは、同じく避難してきたお父さんへたった今体験した出来事を話した。
きっと、ご先祖が守ってくれたのよ。ありがたいわね。
お母さんがそう言うと、幽霊を一切信じないというお父さんは
「馬鹿馬鹿しい、偶然助かっただけだろ。運が良かったんだ」
と、孫が無事だったことには安堵していたものの、お母さんの言葉には否定的だったという。
そして、その日の夕方。
未だ収まらない余震を警戒しながら家の中の整理をしていると、また大きな揺れが家を襲った。
――うあぁぁ!
その揺れで、お父さんはバランスを崩して転んでしまい、右手の薬指と小指を骨折してしまった。
最初のコメントを投稿しよう!