信じないから

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この話を聞かせてくれたとき、Aさんはそんなことを言って少し困ったように笑っていたのですが、私が話を聞かせてくれたことにお礼を言うと 「実はこれ、まだ続きがあるんですよ」 と言って、その日の夕方に起きたもう一つの不思議な話を聞かせてくれた。 外へ避難したAさんのお母さんは、同じく避難してきたお父さんへたった今体験した出来事を話した。 きっと、ご先祖が守ってくれたのよ。ありがたいわね。 お母さんがそう言うと、幽霊を一切信じないというお父さんは 「馬鹿馬鹿しい、偶然助かっただけだろ。運が良かったんだ」 と、孫が無事だったことには安堵していたものの、お母さんの言葉には否定的だったという。 そして、その日の夕方。 未だ収まらない余震を警戒しながら家の中の整理をしていると、また大きな揺れが家を襲った。 ――うあぁぁ! その揺れで、お父さんはバランスを崩して転んでしまい、右手の薬指と小指を骨折してしまった。
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