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たろちゃんの瞳に私が映る。時が、止まる……。
たろちゃんは、ゆっくりと口を開いた。
「俺さ……子供ができたらいっぱい遊んでやりたい。仕事がない日は絶対子供と過ごすって決めてるんだ。
男の子だったら、一緒にサッカーでもキャッチボールでも付き合ってやりたい。
女の子だったらたくさん甘やかして、パパ大好きっ子にしたい。
勉強は教えられないけど……それ以外だったらなんでも叶えてやりたい。いろんな所に連れて行って、たくさんの思い出を作りたい。
俺が……貰えなかったものを……子供にはたくさん与えたいんだ」
彼の瞳から涙が零れる。なんて綺麗な涙なんだろう。
私はそっと、彼の手を握り返した。
「家族を作るっていうのが……ずっと夢だった。
家に帰ったら既に明かりがついてて……中からは子供たちの笑い声が聞こえる……。
夜ご飯のいい匂いが漂ってきて……それで……──」
彼の震える手が、私の頬に触れる。
「──それで……その中心には、十年後も二十年後もその先も……君がいてほしい。笑顔で『おかえりなさい』って言ってくれたら、それだけでいいんだ。それで十分なんだ。
──結婚しよう、千春」
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