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「そいつはまともな人間ではねえ、化け物の娘だ。今まで村で育ててもらっただけで、ありがたく思わねばならんのだ」 「そうか、わかった」 「ならばそこをどいてもらおうか」 「いや、この娘、拙者が預かろう」 「なんだと」 「逆さヶ淵の(ぬし)とやらは、拙者が退治てくれよう。それで雨が降るのならな。娘、案内せい」  武芸者はそう言うと、どちらの返事も待たず、娘を抱き上げた。娘を軽々と肩に担ぎ上げ、呆として突っ立つ男たちを背に、(さっ)(さっ)、とその場を去って行った。
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