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えーっと、二コマめの進化学概論からで間違いないよね。心許なくスケジュール帳を開いた。2015年7月4日の欄のメモを確認し、誰も気づかぬうちにパタンと閉じる。
入学式を終えたばかりというのに実家にとんぼ返りしていたのは継母が亡くなったからだ。
アパートに戻ってからも学校へ足が向かなかったのを、やっとの思いで大講義室に入る。女子が群れていた。一人の女子を囲んでみんなが慰めているようだ。
泣いてるのかな、どうしたのかなと思ったけれど、目が合った彼女の友人たちにキッと睨まれた。
私、何かいたしましたっけ?
学科の顔見知りの輪に入れず居心地悪いまま、長い椅子の端に腰かける。
疎外感か…。あんな時、同情できるかどうかで敵味方が決まるのだ。どうも友達を作るきっかけを逃してしまったな、と空気で分かる、しかも不真面目のレッテルが今まさにつけられたって。でも自分の身の上を説明するのは面倒くさい。誰かの話に同情できる自信もなかった。
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