第四章 告白

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ピピピ… ピピピ… 耳を(つんざ)くようなアラームが鳴り、瞼をパッと開けた菫――枕元に置いてある時計のアラームを止め、ベッドのサイドテーブルで充電している携帯電話を手に取った。 『2018年8月25日(土) 7時30分』 今日は、コウと海を見に行く日――。 ベッドから起き上がり背伸びをした菫は、バルコニー側の掃き出し窓へ向かった。朝日を遮っているカーテンを開けると途端、室内は白く冴え切った陽光で満ち溢れる。 快晴!!海日和!!! 手に持っていた携帯電話に再び目をやると、2通のメッセージが来ていた。 1通目は深夜2時頃に来た、野々村さんからのメッセージ。 《今仕事が終わりました。ありがとう、菫さんの励ましで頑張れそう。海、楽しんできて下さい。写真撮れたら送って(^^)おやすみなさい》 二人で会いたいと言われて以降、実際会えてはいないもののメッセージをやり取りするようになった。 少しずつ敬語が減り、顔文字も付くようになった。 野々村さんから、隼人さんと呼ぶようになった。 男性が「本命彼女」にだけ送るメッセージについて書いた恋愛コラムで、「どれだけ遅くても仕事が終わったら連絡してくれる男性は、あなたのことを“本命彼女”と考えています」と書いてあった。 「彼女」ではないけれどこの事が真実なら、隼人さんは私の事を本気で考えてくれているという事なのだろうか――咲良さんの面影としてではなく。 所詮はコラム……統計的には参考になるけれど、一個人の本心までは読み取れない。 2通目は朝6時半に来た、コウからのメッセージ。 《快晴!海日和!Σd(゚Д゚)予定通り、三茶のキャロットタワー辺り10時集合で!》 ――快晴、海日和って……浮かれ方が私と全く一緒だ。
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