第四章 告白

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汗ばんだ身体をシャワーでスッキリさせて、ドライヤーで乾かした長い髪を、後頭部の高い位置でざっくりと束ねる。後れ毛をアイロンで緩く巻くと、普段からしているポニーテールも、より垢抜けてお洒落に見える。 デニムでカジュアルに行くか、ワンピースで女っぽく行くか――。 腕組みをしながらクローゼットの前で考えた結果、ふわっと海風に揺れる白のロングワンピースを選択。足元は今年買った、橙色のウェッジソールのサンダル――そして、リゾート系のデザインが好みで買ったジュートのバッグを持てば、夏を満喫しに行くコーディネートの出来上がり。 卵ご飯、漬物、味噌汁で朝食を済ませた菫は、歯を磨いた後ドレッサーに座った。 コンタクトを装着し、いつもより念入りに化粧をする。普段面倒で省く、コンシーラーやマスカラベースまで過程に組み込む。せっかくの海だし、目尻に少し派手なカラーシャドウを使ってみようか……。 相手がコウだけど、デート前に気合を入れてメイクをするのは久しぶりで、何だか心が躍って楽しい。長く付き合うと、この感情も時間の経過と共に薄れてしまっていた。直之の家へ行く時なんて、スッピンに眼鏡で行ってたくらいだ。 相手がコウだけど。 今日は楽しい一日になりそうだな――。
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