Prologue

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「きゃあ!」  何がなんだか分からない内に、景色が回る。身体のどこを、どこにぶつけて、どこが痛いのかも分からない。 「兵器なら、こうげきされれば、はんげきするんだろ?」 「あー、なるほど、な!」 「いやっ、痛い! やめて!」  数人の少年は、あっという間にティアナを囲み、思い切り蹴り出した。  なす術のないティアナは、頭を抱え込んで身を縮めることしかできない。 「やめて、やめて! やだぁ!」 「早く、何かして見せろよ! ホラ!」 「やーれ! やーれ!」  はやし立てる声が、どこから聞こえるのかも分からない。 「やだ、やめて! やめてぇえ!!」  途端、激しい攻撃はやんだ。しかし、ティアナはそれに気付かず、夢中で口走る。 「やめてよ! みんなあっちに行って――――!!」  行って、行って、と必死で叫び続ける。  どのくらいそうしていただろう。周囲から攻撃がやんだことに気付いたティアナは、息を弾ませながらそうっと目を開けた。  視線の先には床しか見えない。床と、教室に置いてある机と椅子の脚。それに、クラスメイトのものと思われる足だ。  ノロノロと身体を起こすと、周囲にいた男子児童は皆、壁際でうずくまっていた。
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