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カナちゃんが述べた通り、当時のスワロー国鉄は人活センターこと人材活用センターが君臨していた正に暗黒時代。 ラビニアが帰国するや両親に嘘八百を並べ立て、其を鵜呑みにしたスノーパレス伯爵が多額の報酬を餌に当時の人活センター幹部アドルフ=ファルッシに黒い取引を持ち掛けたのだ。 今日でこそ正史として認識そして記録されているその事実だが、当時はまるごと握り潰され闇に葬られようとしていたのである。 当時スワロー国鉄に於いて人活センターがどれほどの強大尚且恐ろしい権力を握っていた事実を知る、いわば生き証人の1人であるカナちゃん。 そのカナちゃんから事の真相を聞かされた訳であるから、異世界からの来訪者である陸攻も、当時のスワロー国鉄内部でそのような不正が罷り通っていた事に対し、激しい憤りを覚えながらも納得せざるを得なかった。 「勿論今の国鉄でそんな出鱈目は通用しないから安心していいぞ大尉。 此でやっと、エレナくん夫妻のホームパーティーで、あんな恐ろしい顔で睨まれなくて済むよ大尉」 「カナちゃん……」 何時しか狼大尉と呼ばれていた頃の形相を浮かべていた陸攻に、敢えてそう言葉をかけるカナちゃん。 やがて陸攻が大きく頷く。 その肩ではイラブーが、嬉しそうな顔で何度も何度も頷いていた。 「ところで大尉。 その、つまりその、早い話アレだ。 君さえ良ければの話だが、そのパーティーで私をエスコートさせてあげてもいいがどうだね?」
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