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手紙を受け取った俺はすぐさま奴の元へと訪ねた。
納得がいかなかった。
なぜこんな大事なことを手紙などという遠回しな手段で伝えきたのか。せめて電話をくれるべきだったのでは。通夜に告別式、納骨さえ終えた後に知らせてくるなど、一体どういう了見だ。俺とあいつは、そんな他人行儀な仲ではなかったはずだ。
だが同時に奴がわざわざ手紙にした理由になんらかの意義があるように思えて、俺は奴のその意志を尊重すべく、手紙を握りしめたままかけた電話には、今から行く、とだけ言った。そして奴もあえて説明しようとしなかった。
「わかった」
その短い言葉がひどく重く、そして暗く俺の胸を塞いだ。
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