高校三年生の陰キャは再度入学式に出席する

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 ──そっちの高校生活は楽しいか?  高校三年の秋。最後の文化祭が終わり、とうとう高校生として参加できる大きな行事を卒業式だけ残した頃。  暇だったので厚着をしてから駅前の本屋に一人で来て、偶然久々に出会った、同じ中学だった友達に再開したとき、そう聞かれた時があった。  その時、俺は迷わずこう答えた。  ──まあまあかな  そう。久々に会った時に交わす定番中の定番みたいな内容だが、その内容は話す人によって、結構重要なものだったりする。  勿論、それは俺も例外ではない。  確かに、「まあまあかな」と迷わず答えた俺をかんがみて、そこまで重要そうには見えないと思うだろうが、それは違う。  そう言うしか無かったのだ。  大体の人、特に友達が普通に居て、人並み程度に楽しい学校生活を送っている人達は「楽しい」と答えるのが大半であるが、俺みたく、中学以来友達を作れていない、即ちぼっち達は「まあまあ」か、「普通」と答えてしまうのが予想出来る。  ──世間には、空気というものが存在する。  この世界において当たり前の概念だが、今回の言う空気は根本的に違う。  主にその場の雰囲気を言い換えたものだ。     
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