夏のお茶会

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 小高い丘から見上げる空が、茜色に染まっています。八月中旬、まだまだ暑い日が続いており、吹き抜ける風もなんとも気持ち悪い温さです。  そんな中私は、黒のスーツに白の手袋という出立ちで黙々と仕事をこなしていました。  いくつも並んでいる大きなテーブルに純白のクロスを掛け、皺を伸ばします。ティーセットやスプーンなどの食器類は既に完璧に磨き上げてあります。 「……おや」  お茶菓子の用意をしていたところに、一番乗りのお客様がやってきました。ふわふわと空を飛んで。 「あ~、会場はここでいいんかね?」 「はい。お待ちしておりました」 「ん、まだ誰も来とらんねぇ」 「皆様もじきいらっしゃるでしょう。お茶は何になさいますか?」 「そうさなぁ。焙じ茶はあるかい。みるくちーなんてハイカラなもんは年寄りの口にゃあ合わん」 「かしこまりました。少々お待ちください」  お茶を淹れている間にあちこちからふわふわふよふよとたくさんのお客様が到着し、場は俄かに賑やかになりました。私も一気に忙しくなります。  今はお盆。彼らは久方ぶりに現世に戻ってきた死者達、そして私は、胡瓜の馬が迎えに来るまでの間休むためのお茶会の給仕を、常世のさる偉いお方から仰せつかっているのです。
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