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女の子は物凄く目立っていました。なぜならスクール水着姿だったからです。おそらく学校のプールか何かで溺れたのだろう、と私は勝手に推測しました。
一部の、所謂死んでも治らない質の男性陣から不躾に見られて小さくなっている彼女のもとに、私は近付いていきました。さり気なく視線を遮る位置に立ちながら、とりあえず上着を脱いで差し出します。驚いた顔で見上げてくる女の子に上着を掛けてやりながら、話し掛けました。
「ここにいる間は、どうぞこれを。……お茶会に参加されるのは初めてですか?」
「はい。ここにいれば迎えが来るんですよね?」
「そうですよ。帰るのは楽しみですか?」
「はい……っ」
本当に嬉しそうに笑って、女の子は暮れていく空を見上げました。きっと帰るべき家があるその方向には、一番星が輝いています。
私は彼女の――ここにいる彼らの「里帰り」が安らかなものであるようにと、星に小さく祈ったのでした。
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