初カノ × 初カレ

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ハチミツ牛乳のも~っと 小さなパックの牛乳に 大きな瓶のハチミツをスプーンで入れて混ぜる コップもない このまま捨てれるからいいんだそうで 冷蔵庫には給食みたいな牛乳が常に5パックくらいあった スプーンはコンビニでもらうやつだし 英語の問題集を解きながら プーさんのメモにメッセージを残す 私が書いたメモが 捨てられずに机の上に置いてあるが嬉しい 朝霧さんもメモを残してくれる ラインで済むことなのに 書いて貼ってくれるのが嬉しかった 会いたいな プーさんにそう書いて パソコンの端に貼った もう時間だ 帰宅ラッシュの電車に揉まれ 家に帰った 玄関を開けると お肉焼いたみたいないい匂い 「おなかすいた~」 「鈴、毎日どこで遊んで帰ってるんだ」 もうお父さんが帰ってた 早かったのかな 「今日は…体育祭の準備があって  あと杏奈と久々にあったから…」 お父さんはため息ついて リビングを出て行った ちゃんと門限に帰ってきてるのに 「すずちゃん、ピアノ練習してるの?」 「音楽室で…」 「ちゃんとやらないと指が動かなくなるって  先生がいつもおっしゃってるでしょ」 わかってるし 「ご飯いらない」 「え、ちょっとすず」 「お腹いっぱいなの!」 だって会いたいんだもん 会えないけど行きたいんだもん 全てが上手くいってるような気がして 幸せマックスだったのに 落ちるときは一瞬 さっきまでの幸せな気持ちなんてどこかに行ってしまった 早く大人になりたい それから1時間くらいしてからだった 朝霧さんから珍しく電話が鳴った 「もしもし!」 『出るの早…』 「仕事終わったの?」 『さっきこっち着いた』 「そっか、お…お帰りなさい」 ↑お帰りを言うのは恥ずかしい 『飯食った?』 「え…うん!」←うそ 『スズ』 「ん?」 『あの…ノート買いに行くって作戦  今から使えない…?』 「え?」 『なんかもう…どうしても会いたい』 どんな顔して言ったんだろう なぜか泣きそうになった 私はまだたぶん 現実味がない 朝霧さんが私を好きになってくれたことが 「お母さん…」 「あら、お腹空いた?」 「ちょっと…ノート買ってくる」 「ノート?」 「無くなっちゃって」 「ノートならこの前…」 どうしよ バレる? 「暗いから気をつけて行きなさいよ」 「いいの?」 「ついでに牛乳買ってきて?」 「う…うん!」
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