痴漢 × ストーカー

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これが駅に向かってることはわかった。 もう22時過ぎ。 歩きながら犯人は時計を見る。 「親にちゃんと連絡した?」 「はい」 夢みたいなお誕生日だった。 終わりかな。 来るなって言われるんだよね。 あ、これ最後の晩餐だった? 絶対そうだ。 犯人の背中を見ながらそう思った 「丁度あるな、しかも快速」 時刻表を見上げ犯人が言う。 丁度なくてよかったのに最終は23時12分。 そこまで一緒にいたいなんて言えないけど。 「もう来るなよ、ストーカー」 やっぱり なんかテギレキンだったみたい。 さっきの時間が。 でもせめて これだけ テギレキンでいいから 諦めないといけないのは ホントはわかってるから 「名前…教えて下さい」 小さなため息。 会いたくない相手にそんなこと聞かれてきっと嫌だった。 犯人はポケットから小さな財布みたいなのを出し、小さな紙切れをくれた。 「間違っても会社に電話すんなよ」 「なんて読むの…?」 「朝霧光輝」 「アサギリコウキ?」 「わかりすいなお前  名刺くらいで嬉しい?」 だってずっと知りたかった名前だもん。 呆れようにそう言って 犯人は私の手から今もらった名刺を取った。 手に持ってた鞄は下に置き、内ポケットから出したボールペンで手の平の名刺に何か書いて 「重要な用事以外するなよ  まぁ用事ないけどな」 名刺を私に戻し 犯人はもう背を向けて歩き出した。 名刺には ラインのIDが書かれていた。 これはランクアップでしょうか。 それともテギレキンでしょうか。
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