きになるあのひと

3/7
前へ
/7ページ
次へ
優太(ゆうた)くんがまた変な本読んでるー!!」 後ろで里子(さとこ)ちゃんの大声がした。 振り向くと、ぼくが手にした本を指差している。 「難しい本読んでるのねー」 先生もくすくすと笑いながら言う。 ぼくは佐伯(さえき)優太。(とり)ノ森幼稚園の年中さんだ。この間の誕生日で五才になったばっかりだけど、「子供らしくない子供だ」とよく言われる。 自分でもちょっとそう思う。本ばっかり読んでるからだ。他の子はあんまり読まないけど、漢字が多いやつもページが多いやつも、面白い話なら何回でも読める。 「これはそんなに難しくないよ」 だからっていじめられてはいないし、みんなでやるおゆうぎやドッジボールも好きだから別にいいけど。
/7ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8人が本棚に入れています
本棚に追加