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第1章 プロローグ:動け!
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。
…。
……。
………。
……………。
………生きてる。
世界が流れこんでくる。
あの恐ろしい痛みはない。
――誰?
あの男じゃない。
アカム……やっと会えた。
あれ。
動かない。
声もでない。
聞こえない。
おかしいな。
泣いてるね。
ごめん。
こんなんなっちゃったよ。
でも、知ってたことだから。
アカムだって、わかってたでしょ。
どうして、血まみれなの。
大丈夫?
励ましたいけど、できないな。
なんていったの?
涙、あったかいね。
小夜ちゃんが、できなかったことだけ、できる。
小夜ちゃんは弱音を吐かなかったけど、
やっぱり、悲しかったのかな。
でもね、いまは何となくわかるよ。
見えてるだけも、見えないだけも、かわらない。
同じこと。
そんなに泣かないで。
残念だけど、仕方ないよ。
会えて、よかった。
光、きれいだね。
もう、さよならだね。
痛くないよ、苦しくないよ。
わたしは大丈夫。
……え、なにいってるの?
どうして。
だめ、それはちがう。
ちがうよ。
そうじゃない、ちがうってば!
――動け。
伝えなくちゃ。
神さま。
あとひと息だけ、わたしに下さい。
さあ、動け!
動け!
がんばれ、わたしの体――。
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