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そう言ったのは、誰だったか。頷くように私は笑った。
私も、秋が嫌いだ。
別に秋に恨みこそないけれど、キノコもサンマもナスも銀杏も好きだけれど。
違う。
そんな理由ではない。
分らないけれど、秋はすごく寂しくなる。今もそう、何処まで歩いてもブーツは落ち葉や枯葉を踏み音楽を鳴らす。
楽しそうな機嫌の好い音をカシャカシャ鳴らす。
そんな気分では無いのに。
寒さにかじかむ手を息で温める。
誰かと一緒に来るべきだったなと白い息を吐きながら空を見た。
最近では地元の人間さえも森には寄り付かないらしい。森の入口にいた管理人だって、あくまでも仕事はテニスコートの貸館業務なのだから。道案内は仕事ではない。
そんな人でさえ、わざわざ忠告してくれたというのに。
この森について以前にも忠告された気がする。
冬の空は星座が綺麗に見えると教えてくれた。森には妖精が住んでいて名前を呼ばないと悪戯されてしまうと教えてくれた。そして名前を呼ぶと妖精は消えてしまうのだとか。
妖精はいつだって友達と遊びたい、だから森に閉じ込めてしまうのだ。
そう教えてくれた人は冗談を楽しそうに言っていたが、これでは本当に森に閉じ込められてしまった気分である。
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