恋しい

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とある日の休日。 俺は用事ついでに、長瀬組の事務所に寄ることにした。 あ~~、可愛い俺の弟に会いてぇー。 鼻歌まじりにビルの一階の玄関をくぐると、俺に気づいた構成員達が「宮城さん、お疲れさあっす!」とドミノが倒れるように頭を下げていく。 事務所の奥でヒロと談笑していた真琴は、その大きな挨拶の声で俺の存在に気づき、こちらに目を向ける。 が、ふいっと興味なさげに目をそらし、ヒロに再び話しかけ始めた。 ひでぇ……!放置プレイですか、まこちゃーん。 仕方がねぇから、真琴達から10m離れた位置にいる要くんに話しかけてみる事にした。 「要くーーーん。元気?」 「うぇ…っ!? あ、はい」 「相変わらずぼっちだな。若頭のお気に入り若手側近だと、みんな距離の取り方分かんねーもんな。 かわいそうに、よしよし」 「ちょ…!お尻さすらないでくださいっ」 いい撫で心地。 程良い柔らかさを堪能した後、少し真面目なトーンを装って要くんに話しかけてみる。 「要くんってさあ……」 要「はい…?」 ごくりと唾を飲み、訝しげな表情で俺を見つめる要くん。 若干上目遣いで可愛いー。 俺は3拍ほど間を置いた後、へらっと笑って要くんの背中を叩いた。 「本当に可愛いなー!すんげーイケメンなわんこ。俺も飼いて~!」 「はあ…」 真琴なら「意味深な前置きやめろ」って怒るんだろうが、要くんはほっと安堵の表情を浮かべて吐息を漏らす。 若干、呆れてはいそうだが。
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