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「絵美さん、今日もよろしくお願いします!」
「今日は残業しても終われるかどうか…厳しいわねぇ」
「繁忙期な上に、反対班でメカトラがあって……」
「よし、やるわよ!」
さっさかさっさか!
二人集中力が上がる。
そろそろ休憩だが、今休憩に入ったらこの集中力が切れてしまいそう。
「このまま仕上げるわよ!」
「はい、お願いします!」
まさに絶好調!共に作業をして効率も上がり息も合ってきた!
その時だ!
ちょい……ちょい……。
またも私の袖をナニカが引っ張ってきた!
「あぁっ!!」
その衝撃でピンセットで摘んだ一番コストの高い極小サイズのパーツが散らばる。
これを組み立てれば終わりだったのに!
ガッと来ないのがなんだかイライラした。
『やってんじゃねぇっ!!!』
絵美さんと私の声がハモる。
すると、今まで感じていたそのナニカの気配が消えた。
ハッと絵美さんと顔を見合わせる。
「やだ、つい……」
「私もあまりの忙しさにイライラしちゃって…」
「消えたわね」
「そうですね…」
それから、その作業台で袖を引っ張られることがなくなった。
人の怒りの感情は、霊を上回ることもあるらしい。
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