出会い

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 昨晩、鈴は居酒屋のアルバイトで親しくなった女の子の家に泊まった。その子の自宅アパートがK駅の近くだったのだが、ここがそういう駅だと知っていたので、昨夜の時点では、彼女のアパートからK駅よりは少し遠い、私鉄の駅を使って帰るつもりだった。しかし今朝ウッカリ寝坊したせいで、最寄りのK駅を使わざるをえなくなった。  日曜日は朝から映画館でのアルバイトがあった。その時間に間に合わせるため、嫌な予感を覚えながらもK駅にやって来たのだ。  悔やまれるのは、誘われたからと、ちょっと可愛いと思っていただけの女の子の家に気軽に泊まってしまったこと。そして、その子が可愛いだけでなく、かなりの巨乳でついつい夜更かししてしまったことだ。  浅ましい欲望に負けた自分が憎い。鈴は、自分の顔色がどんどん悪くなることを自覚していた。全身から血の気が引いていくのがわかるのだ。  反対のホームから、非常に良くない――視線を感じる。そちらに顔を向けなくても、誰かが自分を見ているとわかる。  そしてそれは――人ではない。  少し前、次の電車はまだかと顔を上げた時だった。反対のホームに、虚ろな目で立つサラリーマン風の中年男性を見つけた。  最初に覚えた違和感は、男性がスーツを着ていたことだ。暗い表情に不釣り合いな、明るいピンクのネクタイをしている。日曜日でも仕事の人はいるか、と思い直したが、さらなる違和感に気づく。     
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