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「あ、また言う? 幽霊はいないって。この話は確かに聞いたことがあるような話だけど……他にも色々……」
「あ! いいって! どうせ現地に行くんだから、そこの怪談なんて聞かなくていいよ。それより江藤って、いつもこんなことしてんの?」
「こんなことって……心霊スポット巡り?」
「幽霊信じてる割に、軽く言うなぁ……路線バスの旅かよ。まあそういうこと。他にも行ったことあんの?」
「ああ、あるよ。広瀬と会ったK駅もその一つだし」
鈴が目を丸くする。東京都心の高級住宅街に住んでいるであろう新一が、日曜の朝早くにあの駅にいた理由がようやくわかった。
「俺さ、ちょっと前にこれから行くとこみたいな、郊外の廃墟に一人で出かけたんだよ、しかも夜中に。したら、まんまとヤンキーつうの? ヤバい奴らに遭遇しちゃってさ」
「え、大丈夫だったのかよ」
「うん、お金でなんとかなった」
「……か、金?」
「そ。ほら、俺って相当なボンボンじゃん? うちのお父さんって、なんでもお金で片付けるタイプの人でさ。……とにかく、絡まれそうになったから現金適当にばら撒いて逃げたんだ。そんな危険な目に遭ったから、次は街中の心霊スポットにしようと思って、人身事故が多くて有名なK駅にでかけたわけ」
「なんで……そんなことしてんの?」
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