廃ホテルの怨念

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「いつか、幽霊の存在を証明したいから。それにはまず、幽霊に会わなきゃだろ?」 「へ、へぇ……」 「会うには会うんだよ。この前もそうだったろ? 広瀬は幽霊だって認めないけど。でも広瀬の言う通り、あれが幽霊だって証明できないのも本当なんだよなぁ、悔しいことに。他の人が見えてないものが見えただけじゃ、幽霊の証明にはならないもんね」  やはり新一はかなりの変人だ。幽霊を信じていながら、自分が見えているだけでは証明にならないとわかっている。 「そもそも、幽霊の証明ってどうやるわけ? あ、いや、俺は幽霊自体信じてないけどな」 「俺が考える方法の一つは、事件事故があった心霊スポットに行って、そこで被害者の幽霊に会う」  フムフム、といつのまにか鈴は真剣に聞いてしまっていた。 「それから、その被害者の幽霊となんとかコミュニケーションを取って、その幽霊が被害者であることを証明してもらう。簡単なことでいいんだ、自ら名乗ってもらうとか、亡くなった時と同じ服装でハッキリと心霊写真に写ってもらうとか」     
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