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「それ! 俺も昔っから思ってた! なんで心霊写真っていっつも見切れてんの? 写るんならもっとちゃんと写れよな。ひどいのだと、手だけ足だけとかあるじゃん? あれ……なにがしたいの? て思うよな。むしろ、怖がらせたいだけかよ、遊んでんじゃね? 真面目にやってんのかよ、て思う」
「わかる! けどさ、最近は写真じゃなくて……動画も多いじゃん? だけどああいう動画もさ……」
「江藤の言いたいこと当てられる気がする。ハッキリ映ってるけど、逆にウソくさいって感じるんだろ? メッチャわかる! なんで、驚かすの前提で映ってんの? なんでいつも、カメラが切り替わったり、ドアが閉まったら一瞬だけ映るのって気になってしかたない」
「そう! それで女は大体髪が長くて、白いワンピース着て……」
血走った目を見開いてる! と鈴と新一の声が重なった。
大きめの声だったが、車内に乗客は少なく離れているので、迷惑にはならなかったようだ。誰も鈴たちに気を留めない。
しかしふと我に返った鈴が、コホンと小さく咳払いする。喉の違和感などないが、なぜ新一のような変人と話が合っているのか、と反省の意味を込めて――。
鈴が戸惑っていることに、心霊話に夢中の新一が気づくことはなかった。
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