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料理人ギルド
炎の山猫亭に入るといつものように食欲をそそる匂いが満ちていた。
しかし、レイアスは男が料理人ソフィと言い争っているのを見て首をかしげた。
「私は興味ないってば!」
「しかし、他の街では普通に行われていることです。僕たちも団結したが……」
(ソフィさん、どうしたんだろう?)
彼はどこかで見た気もする中年男を観察するがはっきりと思い出せなかった。
「この街に来た人が最初に食べた料理はそのまま街全体の印象になります。私やあなたの評判にも関わるんですよ」
「私の料理を食べてもいない人の評価なんて知ったことじゃないわ。自分の店の評判は自分の料理だけで決まるのよ」
「理想はそうですがに現実はそう上手くいきません。それに、味が悪いならまだしも劣った料理人が食材の扱いを間違えばお客さんを危険にさらすことはお互いによく知ってるじゃありませんか」
その時、レイアスはやっと男が何者かを思い出した。
名前までは思い出せないが町の東部で店を開いている料理人だ。
「料理人とお客さん、そして町全体の評判を守るためにも……」
「だから私の知ったことじゃないって……!」
ソフィが言い返そうとしてレイアスの存在に気づくとたちまち声をかけた。
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