10人が本棚に入れています
本棚に追加
「ああ、ちょうどいい所に来た!ほら、私は用があるの!仕事の邪魔だから消えなさい!」
「し、しかし僕の話も……」
「叩き出されたいの?わかったわ。私は料理以外でこの腕を振るうのは好きじゃないけど、そこまで言うなら……」
「ひいいいっ!」
巨大包丁を持ったソフィに恐れをなした男は全速力で逃亡した。
無理もないとレイアスは思う。ソフィは並の冒険者より遥かに強いのだから。
「えっと……なんの話をしてたか聞いてもいいですか?」
「さっきの男と?ああ、もう。口にすると腹が立つから言わないでもいい?」
「は、はい。構いません」
「待って。やっぱり言うわ」
どっちですか、とレイアスは思った。
「あいつはエールって男で私の同業者よ。料理人のギルドを作るから参加してくれって頼みに来たの」
「料理人のギルド……?冒険者ギルドみたいにですか?」
「そうよ。商人や鍛冶師にギルドがあるように私たちも一致団結しようって言ってるの。料理人の質を一定に保つことでお客さんにも貢献できると言ってるけど、食材のルートや技術を独占したいだけよ。それじゃギルドに所属してない人は特定の料理を作れなくなる。馬鹿げてるでしょ?」
「それはちょっと酷いですね」
「ちょっとじゃない!」
ソフィはぎらりと睨んだ。
「は、はい!すごく酷いですね!」
最初のコメントを投稿しよう!