エルフの呪い

51/56
前へ
/461ページ
次へ
 予期不安(サタウシィナーズ)のせいでかなり怯えていたため、回復術士がここにいること、そして必ず助けることを約束した。外へ出てもらい、診察を行ったところ、彼の瞳が細動して白目を向き、卒倒してしまう。  急速な呼吸機能の低下、異常な散瞳(インデキータ)を確認。  すぐに屋内へ運ぶ。観察を続けると、3時間たって容態が落ち着く。しかし、いつもより時間がかかったそうだ。いつもなら1時間もあれば意識を取り戻すらしい。ベッドで横になる女性の兄の脚は赤みを帯びていた。白い肌が特徴的な兄には赤みが目立ってしまう。  一方、他の部分に赤みは見られなかった。なぜだろうと考えていると、屋内に差す夕陽が目に入る。太陽の光が差し込む方向とベッドの位置を計算すると、ちょうど回復術士が治療していたベッドの後部に、太陽の光が当たっていたのだ。  太陽光と症状との繋がりをベースに、同僚や部下と症状の原因を考えて出た結論は、魔障だった。  しかも2つの魔障が絡んでいるとの見解が示されたのだ。魔力が自分の体を蝕み、生命を脅かす魔力衰滅(ガルダーセロウン)と、万物の力の神から罰を受けているために魔法を使える器が欠落している魔体欠損(ガルダーマンタ)の合併により引き起こされている。
/461ページ

最初のコメントを投稿しよう!

49人が本棚に入れています
本棚に追加