エルフの呪い

52/56
前へ
/461ページ
次へ
 のちの検査により、2つの要素が組み合わされた複合的な魔障であることがわかる。万物の力の神により与えられた罰が器の欠落ではなく、禁止事項(キャリクァク)必要事項(グーテンクァク)の絶対遵守であった。  彼の場合、禁則事項(キャリクァク)が太陽の光を浴びないこと、そして必要事項(グーテンクァク)が一日500mlの人の血を摂取することだった。  回復術士が女性の兄に初めて会った時には、まだ必要事項(グーテンクァク)が執行されていなかったが、それから数日後のことだ。女性の兄は家を飛び出し行方不明となる。知り合いを呼んで捜索したものの、女性の兄は見つからなかった。  それからまた数日がたって、夜に出歩いていた村人が、何者かに襲われる事件が相次いだ。襲われた村人は一様に噛みつかれた痕があり、森に住む獣にやられたと思われていた。しかし、噛まれた村人が「あれは間違いなく人だった」と証言する。  目撃証言は兄と一致する事柄が多数。だが、村人の噛まれた痕は、人間の歯によってつけられたものとは異なっていた。
/461ページ

最初のコメントを投稿しよう!

49人が本棚に入れています
本棚に追加