森の囁き

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 遊びすぎた。気づけば夜になり、あっという間に門限ギリギリの時間が迫っていた。  私はやっと坂を上り切る。荒々しい息をこぼし、繰り返す胸の音。全身にまとわりつく汗は不快感を抱かせる。  ピンク色の長いスカートの右側の裾を持ち上げ、右の太もも辺りに集めて結ぶ。こうしなければこの長いスカートでは走れなかった。  右足の膝上7センチから下は、白い肌が露わになっている。学園でこんな格好をしようものなら浮いてしまい、先生から大目玉をくらう。誰も見ていないからやれるのだ。  私は息を整えている間に空を見上げる。  少し肌寒い空気は夜の空をすみ渡らせていた。小さくも強く輝いている星が空に散らばっている。とても綺麗で見惚れてしまいそうだ。  ハっ!? こんなことしてる場合じゃない!  我に返った私は急いで駆け出す。
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