第2話「恋」の始まり?

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 結局、叱るのを諦めてリビング中央の座卓に戻ると、その問題のノートをもう一度広げて、盛大なため息をついた。  数学のノート、わたしが書いた数式のすぐ横に、丸やら線やらが大胆に描いてある。希望が描いた「くーま」だ。  そもそも、なぜわたしがこんな場所で勉強をしているかというと、明日から一学期の中間テストなのである。本当なら自室に籠って最後のあがきに集中したいところだけど、それが出来なかった。  日曜日なのに、おとうさんも義兄の仁も不在だ。  中学校の先生をしているおとうさんは、試験問題の作成が遅れてるとかで図書館へ出かけてしまった。中学校も試験の時期なのだ。どうやら、おとうさんも明日までに仕上げなきゃいけないらしい。試験の時期は、生徒だけじゃなく先生の方も大変なようだ。ちなみにおとうさんの担当教科は国語である。  仁は、土日の昼間はカフェでアルバイトをしている。モーニングの時間から入って、夕方5時までのフルタイム。  ということで、日中はわたしが一人で希望を見ていなければならなくなった。  午前中は近所の公園に行って、思いっきり走り回らせてきた。そうした方が、午後は疲れてよくお昼寝してくれるかな、という計算で。  昼食の時間に家に戻って来て食事をとり、さぁ、午後はじっくり勉強でも、と思ったんだけど……。
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