第2話「恋」の始まり?

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 参考書を広げるわたしの傍らで、希望は元気にブロックを出したりミニカーを出したりして遊びまわっている。まったくお昼寝をする気配がない。わたしの目論見は見事に外れてしまったわけだ……。  それでも一人でご機嫌に遊んでいるのだからまだ助かる。時々絡んでは来るけど、邪魔に思うほどでもない。だけど、わたしがちょっとトイレに立って、そのついでにコーヒーを淹れに行った隙のことだった。広げっぱなしだったノートに落書きがされていたのは。  まったく、油断ならない……。  気を取り直して、再び参考書に向かう。シャープペンでされた落書きは消せなくもないけど、もうそのままでいいや。それよりも、先に進めよう――とそこへ、希望のちょっと情けないような声が。 「かじゅー……のん、ちっちでたー……」 「ええっ!?」  ええええ……。  ガックリと肩を落とした。  おむつが取れたばかりの希望は、時々まだおもらしをする。それは仕方のないことだ。叱る訳にもいかず、大きな息をついて希望の世話に向かった。  とりあえず、今は勉強どころではなさそうだ……。  
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