最終話 共に歩く未来

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       *      *      *  寺での法要が始まる前に、お墓に行ってお参りを済ませることにする。お母さんのお墓は寺の裏手にある墓地の奥の方にある。お寺で桶と柄杓を借りて、わたしたちは揃ってお墓へ向かった。  途中、わたしが持っていたお花を希望が持ちたがった。希望にはちょっと大きめの花束だけど、両手に抱えさせるようにして持たせればなんとか大丈夫そうだ。 「転んで潰すなよー」  からかう仁に希望がプゥッと頬を膨らませた。 「ころばないもんっ」 「ほらほら。ちゃんと前向いて歩け、希望」  呆れたように笑って、お父さんが希望を前に促す。 「そうそう、前向いて歩かないと本当に転ぶぞ。お母さんのお花、ぺしゃんこになるぞー」 「ころばないもん! おはな、だいじょうぶだもん!」 「そぉ? 本当に大丈夫かぁ? 花で前見えてないんじゃないの?」 「みーえーてーるーもーんっ!」  からかう仁とムキになって言い返す希望。その後ろでわたしとお父さんは顔を見合わせて苦笑した。
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