第2話「恋」の始まり?

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    *    *    *  その日の夜のこと。  夕食後、居間のソファーに座ってテレビを見ている時に、わたしの携帯がメッセージの着信を告げた。  ――木村くんからだ。  その内容は、 『ごめん、別に用事はないんだけど。明日もテスト頑張ってね』  ――とだけ。絵文字も何もない、いたってシンプルなもの。  というか、「テスト頑張ってね」って。自分もだろう! と突っ込みを入れたくなるような文面に、思わず吹き出しそうになってしまった。そこは「頑張ろうね」じゃないのだろうか。 「何、にやけてんの」  隣にドサッと腰を下ろした仁が、面白そうにわたしを見やる。わたしが咄嗟に携帯を後ろ手に隠すと、仁はニヤリと笑った。 「あ、慌ててる。なに、オトコからのメール?」 「!」 「あれ、当たり?」  確かに男から、なんだけど。でも仁の言った「オトコ」のニュアンスはそれとは違う意味に聞こえた。 「そっかぁ。カズにもとうとうオトコができたか」  ほら。やっぱりそう来た。 「違います。男は男でもただの友達からです」 「あらら。それは残念」  仁はわざとらしく肩をすくめた。 「でも、そのメールは友達からだったとして。カズ、今彼氏いないの?」  今、希望とおとうさんは2人で一緒にお風呂に入っている。じゃないと、仁だってこんな話はしてこないだろう。 「いない――ってか、そんなことどうでもいいでしょ」 「んー。まあいいんだけどさ。でも、カズからそういう色っぽい話、全く聞かないなーと思って」  ……ん? なんか今日、誰かからも同じこと言われたような。  でもその前に、仮にわたしに付き合ってる人がいたとして、それをわざわざ仁に言うかって話だけど。
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