朱に染まるとき

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 そしてその日が訪れる。  いつもと違った豪華なレストラン。明るい陽射しを受けながら食事を始める。傍から見たらただのお食事会だ。  個室で乾杯をしてから、運び込まれたものを口に運ぶ一同。 「それにしても司令──いや、織田さん」 「なんだ?」 「就職どうしましょうかね」 「そんなことか。今はそういった辛気臭い話は抜きにして飯を堪能したらいい」  その言葉を待っていたかのように、楽しげに明るく振る舞う。酒が入りすぎて陽気になっている者もいた。  話の内容も、今までの活動を振り返っては笑い話にしていた。司令と呼んでいた男のことも、織田さんに変わっている。皆、一般人となることに安堵していたのだ。無論、元から一般人であり自ら志願してこの組織に加わった筈なのだが──
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