第1章

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 「あと少し、あと少し」  あと少しの距離だ。  あと少し我慢すれば至福の瞬間が訪れる。  今はこの苦痛に耐えればいいだけだ。  5分が数時間にも感じられた。  ゆっくり歩くのも駄目。  急ぎ駆けることも駄目。  調度その間、まるで天秤に計りにかけ均衡を保つくらいじゃないと駄目だ。  それもあと少しの距離でそれが達成できる。  もうイメージはできている。  目の前にあるのは扉をあけ  手をズボンにかけると同時にその一体に圧倒的な光が差し込んだ。  そして、本来あるはずの椅子から抜け落ち、腰部辺りから倒れこんだ。  
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