踊る苦学生

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すると目が覚めたのか、 隣の部屋で寝ていた目付きの悪い妹、 アンナプールナが来た。 ヴェーダ家が裕福なら高校に通える歳だ。 「ちょっと煩いぞ兄!さ!ん~♪ 寝てたのに目が覚めた~♪」 「何だい妹よ~♪俺は勉強に忙しい!」 「歌って踊っているだけだろ! 何時だと思ってい!る!んだ~♪」 「分かっているさアンナ~♪ これはただの息抜きさ~♪ カーストから早く抜け出して~! お前に良い暮らしさせたい~♪」 「故郷の村では母さんは~♪ 父さんの後追い強いられ、 近所の連中に殺された~♪今どきサティーなんて~!」 サティーとは、 焼身自殺したシヴァ神の前妻から取られた因習で、 夫が死んだら後追い自殺を強いられる。 おまけにヴェーダ家は、 カーストで奴隷(シュードラ)より下の不可賎民(ハリジャン)で、 ナンしか運んではいけない身分だ。 「それが嫌でバンガロール~♪ でもまだまだ仕事はナンのみ~!」
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