検証

　もしもし、井上？おれ、坂田。こんな時間にごめん。起こしちゃった？ああ、起きてたの。そんなら良かった。
　久しぶりだけど元気か？高校卒業以来だよな。俺たち地元組はこっちでくすぶってたけど、お前は無事東京の大学に進学出来たんだから、勝ち組ってやつだな。羨ましいよ。どう、そっちの生活は？特に変わったことも無い？順風満帆か。そうか……それは良かった。

　実はさ、おれ、大変なことをしちゃって……それがだんだん怖くなってきて、どうしても誰かに話さなきゃいられなくってさ、それでお前に電話しちゃったんだ。ごめんな。うん、今から話すよ。
　何かって言うとさ、例の廃病院の噂、お前も覚えてるだろ。そう、俺らの高校に“一応”伝わってた都市伝説な。夜中にあの病院の手術室に入って、壁に名前を書いて帰ってくると、呪いがかかって三日後に死ぬってやつ。ひねりも何も無くて、クソ面白くもないから、都市伝説っつーか殆どベタな冗談みたいにみんな思ってたよな。この話をすると、話した奴が馬鹿にされたもんだ。頭出ししただけで、「はいはいご苦労さん、はい、次！」みたいな感じでな。
　だけど、結局あれは冗談じゃなかったんだよ……