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第1章
遠くの空に、竜が飛んでいるのが見えた。
月は空に二つあり、一つは見ていて分かるぐらいのスピードで空を横切り流れている。
眼下に広がる町並みは、西洋風でいて、どこか住む人々の文化それ自体に、見る人がすぐには気付かない違和感を感じさせるものがある。
まさしく剣と魔法のファンタジー世界そのものであり、商店が立ち並ぶ朝市には様々な人種の人々が溢れかえっているのが見えた。
「えええええええええええええええええええええーーーーーーーーーー!?」
そこがどこなのかは分からない。
でも、地球では無いどこかにいる事だけは確かに分かった。
木城彩芽(きじょうあやめ)(成人)。
生まれも育ちも東京都、O区。
母親が自分を生んだ時に亡くなり、父子家庭で育つも、その父親とも交通事故で数年前に死別。
兄弟姉妹はおらず、胸を張って友達と呼べる知り合いは片手で足りる。
現在、彼氏無し。
彼女は、ついこの間まで都内の中堅IT企業D社にフリーランスのプログラマーとして雇われていた。
フリーランスでも、一つの会社からの依頼を外注として請け負い、主な生計を立てるのは普通の事である。
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