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薄汚れてはいるが素人が見ても権威を感じさせる仕立ての良い上下の洋服、その上には黒いベストを着ていて、腰からは彩芽の身長と同じぐらいの長さがある大きな剣が下げられている。
「あの、それで、おろしてもえらえると、嬉しいんですけど」
もしかしたら、話せばわかってくれるかもしれない。
清潔感こそ無いが、ただの無法者と言う訳でもなさそうだ。
そう思って聞いたのだが、素敵な答えが返ってくる。
「う~ん、これは、助けた礼でサービスしてもらわないとな~」
「ちょっと待った! タイム! タイムッ! ストーーーーップ!!」
「キャー!」と叫ぶタイプでは無いにしても、まるで意味のある抵抗が出来ない自分の非力さにパニックを起こす。
こんな状況、生まれて初めてだし、一生経験する事は無いと思っていた。
と言うより巨人って何だよ!?
と、現実感の無さと異常なリアリティにパニックが重なっていく。
「おいおい、客だぜ? 逃げるなって、俺の事知らないのか? あんたみたいな美人ならこれからもひいきにするぜ」
「知らないってば! はなしてぇ! 強姦反対!」
「おいおい、強姦なんて人聞きが悪いぜ、ちゃんと金は払うんだ」
巨人は彩芽の事を、まるで飼い猫を抱える様に肩に担ぐと、彩芽の尻をポンポンと叩き「ふへへ」と助平な笑いを浮かべた。
そのまま、すぐそこにある扉を片手で開けて中に入って行く。
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