第1章

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 スマホだけ持って近所のファミレスか、平日昼間はガラガラの銭湯にでも避難しようと意気込む程度の気力が戻ってきた。  気力が霧散しないうちに、行動を起こすしかない。  やる気は行動で呼び起こされると、昔色んな意味で世話になったダメ上司が言っていたのを思い出す。  誰が言っていたかは置いておき、行動は大事である。  脱ぎ散らかしてあったリアルダメージジーンズを拾うとノソノソと足を通し、スリムな尻を収める。  まずは人様の前に出ても、通報されない恰好にならなければならない。  床を埋め尽くす古い雑誌や使いかけの化粧品、キーボードの汚いノートパソコン、いつか畳む予定の洗濯物、空のビール缶と灰皿に、捨て損ねたゴミ袋を乱暴にどける。  ここ数時間行方知れずだった黒いブラジャーを探し出し、大きな胸を中に収納する。  あばらが浮く程にスレンダーなのに、胸だけ前よりも少しキツイ。  あと、とにかく暑い。  下乳と、ワイヤーが入っている部分が熱を帯びて蒸れる。  しかし、ノーブラで外に出るのには抵抗がある程度の羞恥心と理性は、この暑さでもギリッギリ残っていた。     
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