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後日、私が彼を誘った。その日は雨だった。
雨ということもあって、動物園はやめて、秋葉原へ行くことにした。彼がおいしいシーシャが吸える店があるというので、彼についていった。シーシャを吸うのは初めてで、今でもアプリコットの煙の味を覚えている。ソファ席で、二人で並んでシーシャを吸っていた。彼は前のように私のことを褒めるような真似はせず、黙々とソーシャルゲームをはじめた。今日は新しいワンピースを着てきたのに・・・私は紺のワンピースに漆黒のヒールという、鉄板ながら自分に最も似合うであろう恰好をしてきたのだ。ここまで張り切ってきたのに、彼は私をみていない。ゲームを黙々とやり続け、私の話す言葉に適当に相槌をうっている。前回との彼の態度の差に不安を感じたが、気の置けない仲と思ってくれているのだと前向きに考えることにした。
夜になり、私たちは鶯谷へ向かった。私たちはあっさり宿をみつけ、泊まることにした。彼は鏡ごしにセックスすることを好むらしい。きっと自分の美しい裸体を映してそれを眺めたいからであろう。私はもちろん恥ずかしがったが、興味のほうが勝って、吝かでもない心持だった。宿泊代はなんとなく私が払った。後で半分返してくれると思っていたのだが、いつまで経っても彼が財布を取り出すことはなかった。
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